<スポーツの今>県をあげて次世代育成を後押し 山形城北高ライフル射撃部

引用元:毎日新聞
<スポーツの今>県をあげて次世代育成を後押し 山形城北高ライフル射撃部

 高校生のライフル射撃競技は、火薬類取締法で火薬の所持や使用が認められていないため、大会では▽圧縮空気で鉛弾を発射するエアライフル▽銃刀法に触れないビームライフル(光線銃)▽ビームピストル――の各部門が行われる。いずれも、同心円の固定標的を制限時間内に定められた回数撃ち、いかに中心近くに命中させたかで得点を競う「精密射撃」の競技である。

 全国高校ライフル射撃部事務局によると、射撃部のある高校は今年度、全国に約120校。私立山形城北高(山形市)のライフル射撃部はその一つだ。顧問の情報科教諭、秋場規孝さん(56)によると、1992年の山形国体を前に「高校にライフル射撃部を」と県ライフル射撃協会が県内の高校に設置を持ちかけたのが創部のきっかけだったという。

 現在、部員は31人。平日のうち4日間の放課後と土曜の午前、校内にある射撃場で、前半と後半の2組に分けてそれぞれ約1時間半、射撃練習する。

 全国大会で好成績を収めているのが早坂彩花(あやか)(3年)と鏡愛(同)だ。7月の全日本選手権で早坂はビームライフル女子60発6位、鏡はビームピストル女子60発5位に入った。昨年4月の全国高校選抜大会では早坂がビームライフル優勝に輝き、鏡がビームピストル4位。早坂は今年3月の全国高校選抜でもエアライフル8位、2021年の全国高校選手権でビームライフル6位だった。

 ライフルの重さは4~5キロ。ピストルは700グラム~1キロ。それぞれ1発ごとに銃を持ち上げ射撃姿勢を取り、標的に狙いを定めて撃ち、銃を下げる。ほんのわずかの揺れが得点を左右する。体を静止させるための姿勢、筋力、集中力が鍵だ。

 2人とも姿勢を重視する。ともに右利きで、ライフルの早坂は「重心は両足同じぐらい。銃身を支える左腕のひじを骨盤の辺りに埋めて柱のようにし、銃を固定する」という。ピストルの鏡は「片腕で銃を支えるので、重心は後ろになる左足が6、右足が4の割合。銃に重心が寄ると揺れてしまう。体軸がしっかりしているか、射撃場では鏡で姿勢を常に確認する」と話す。

 2人は、県が09年に始めたスポーツタレント発掘事業「ドリームキッズ」の修了生だ。国際大会に出場する選手や地域の次世代のけん引役を育てるのが目的で、毎年約30人を選考。小学4、5年から中学3年までの間、専門家の指導でさまざまなスポーツを体験し、自分の適性に合った競技を見いだす。

 その中で早坂は「個人で集中してやる競技が好きで射撃にひかれた」、鏡は「射撃競技団体の方に『向いている』と言われ、ピストルを構えるフォームも魅力的だった」そうだ。ともに、射撃部があり身近な場所で練習できることから進学を決めたという。射撃部はドリームキッズ修了生の受け入れは初めてで、秋場さんは「銃刀法に沿って校内で競技用エアライフルが保管できるよう、警察と相談して設備を整え保管許可を取得するなど準備した」と振り返る。

 ドリームキッズを担当する県スポーツ保健課競技力向上・アスリート育成推進室の村岡龍一室長補佐(48)は「県の競技力向上に確実に寄与している」と強調する。今夏開催された競泳の世界ジュニア選手権で女子背泳ぎ100メートル、50メートルの銀メダルに輝いた長岡愛海(山形市立商業高2年)も修了生。ライフル射撃でも、第二の早坂、鏡が生まれる日は遠くなさそうだ。【近藤浩之】

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