DL日本人初優勝の快挙にも泰然自若 目標は「変わらず入賞」というやり投・北口榛花への期待【世界陸上】

DL日本人初優勝の快挙にも泰然自若 目標は「変わらず入賞」というやり投・北口榛花への期待【世界陸上】

女子やり投の北口榛花(24・JAL)が“腰を落ち着けて”世界に挑戦する。

高校3年時の15年世界ユース選手権(現U18世界陸上)に優勝し、華々しい世界デビューを飾った。大学4年時の19年からやり投強豪国のチェコ人コーチに師事し、母校の日大だけでなく、チェコにも練習拠点を持った。19年5月には64m36、10月には66m00と世界トップレベルの日本記録をマークした。しかし同年9月の世界陸上ドーハ大会では6cm差で決勝進出を逃した。昨年の東京五輪はメダルを目標に挑み決勝に進んだが、予選で左脇腹を痛め(左斜腹筋肉離れ)12位に終わった。

今季は自己記録こそ更新していないが、62m以上が4試合と過去最多。6月のダイヤモンドリーグ・パリ大会では63m13の海外日本人最高記録を投げ、全種目を通じてダイヤモンドリーグ日本人初優勝を飾った。メダルを目標にできる実績だが、シーズン前から「世界陸上はまずは入賞」と言い続けている目標を変更しなかった。そこに今季の北口に期待できる理由もある。

 

ダイヤモンドリーグ優勝を冷静に分析

ダイヤモンドリーグは全世界で年間14~15大会が開催されるが、単日(または2日間)開催では世界最高レベルの大会である。世界陸上や五輪のメダリスト・入賞者が出場者の半数以上を占めることがほとんどで、大会によっては前年の五輪&世界陸上の入賞者がそのまま出場することもある。

以前はグランプリシリーズとして複数のグレードで開催されていた。日本選手が優勝したこともあるが、2010年にダイヤモンドリーグとして再編成された後は北口が初めて優勝した。メディアはこぞって報道し、陸連幹部や指導者たちからも賞賛の声が多く挙がった。

しかし北口はいたって冷静だった。

「中国、アメリカ、カナダの選手が出ていなくて、ダイヤモンドリーグの醍醐味である旬の選手が集結したかというと、微妙な大会でした」

それでも19年世界陸上ドーハ大会金メダリストで、東京五輪も銅メダルだったK.L.バーバー(30・オーストラリア)に加え、東京五輪4位、7位、8位の選手が出場していた。力が落ちているとはいえ、世界記録保持者のB.シュポタコヴァ(40・チェコ)や、シーズンベストが65m40の若手ギリシャ人選手もいた。北口も世界ユースの優勝者で、世界的にも一目置かれている。それほど悪いメンバーではない。

「日本の皆さんにすごく喜んでもらえましたし、私も嬉しさはありましたが、落ち着いて喜んでいたと思います。パリ大会のメンバーはほぼ全員、過去に同じ試合に出ている選手たちでした。勝ったり負けたりするのは当然で、特に誰かに勝ったから喜ぶ、ということはありません」

あまり喜びすぎると、世界陸上に向けてプラスにならないと北口は考えたのだろう。

世界大会の目標設定の仕方も、昨年まではメダルを目指す「責任がある」と感じていた。その力があると自身に言い聞かせて気持ちを盛り上げたが、必ずしも上手く行かなかった。

東京五輪後に一度冷静になって「本当に自分はメダルを目指せるラインにいたのかな」と考え直した。

「パリ五輪ではメダルを取りたいと考えていますが、いきなりメダルを目指すのでなく、入賞から確実にステップアップしていく方がメダルに届くのかな」

これはシーズンインする前に話していた考えだが、ダイヤモンドリーグで優勝してもその考え方は変わることはなかった。

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