玉井陸斗、史上最年少の銀メダル 五輪6度のレジェンド・寺内健も認める努力の姿「次元が違う選手」

引用元:スポーツ報知
玉井陸斗、史上最年少の銀メダル 五輪6度のレジェンド・寺内健も認める努力の姿「次元が違う選手」

◆世界水泳 飛び込み最終日(3日、ハンガリー・ブダペスト)

 男子高飛び込みで、15歳の玉井陸斗(JSS宝塚・須磨学園)が史上最年少での銀メダルを獲得した。世界水泳での日本男子のメダルは、2001年福岡大会の寺内健(3メートル板飛び込み銅)以来2人目。五輪6度出場のレジェンド・寺内は4日スポーツ報知の取材に応じ、玉井の偉業をたたえると共に2024年パリ五輪への期待を語った。

 自身以来、2人目となる世界のメダリスト。寺内は「飛び込みの10メートルという花形種目で、中国の選手1人に勝って銀メダル。すごすぎる」と玉井の偉業をたたえた。そして自身の中での胸アツポイントは、表彰式後。2人の指導者である馬淵崇英コーチに、玉井がメダルをかけた瞬間だった。「もちろん陸斗の演技は素晴らしかった。でも、僕は崇英コーチが泣く姿に耐えられなかったですね」。寺内が崇英コーチと積み重ねてきた歴史。そこに玉井が、新たな1ページを刻んだ。

 同じJSS宝塚で練習する2人。小学1年で飛び込みを始めた玉井の姿を、寺内も見ていた。「飛び込みを始めてすぐの時期って、『楽しいなぁ』とか『怖いなぁ』って言いながら、騒いでいたりするんです」。その中、玉井は異彩を放っていたと言う。「陸斗は『こんな風に飛んでみたい』」と、コーチに言われなくても前の選手が飛ぶのを待っている間、自分が飛んでいる姿をイメージトレーニングしているんです。その時から、違うのはなんとなく分かっていました」と、当時を回顧した。

 幼い頃から備えていた飛び込みの才能。ただそれも、普段の努力で開花させた。寺内は言う。「僕が若い頃より苦しいことをやってるけど、ケロッとした顔でやってる。超スーパーアスリートでることは、間違いない」。日々の練習時間は、9時間にも及ぶ。その中でも一切つらい表情は見せないという。先輩も「ちょっと次元が違う選手であることは間違いない」と、認める素質と努力で日本飛び込み界の歴史を変えた。

 昨夏東京五輪では、高飛び込みで7位入賞。更なる成長を誓い練習に励む姿には、寺内も「自分の若い頃をすごく思い出すような、何とも言えない光景」と自身を重ねるという。玉井の練習風景を、元チームメイトに動画で送ることも珍しくない。「クラブの後輩というひいき目なく、自慢できる後輩です。『陸斗すごいでしょ』って。皆も、陸斗の日々の練習から感動するんです」と明かしてくれた。

 銀メダル獲得後、玉井には「柄にもなく、泣いてもうたわ」とメッセージを送った。玉井からは「ありがとうございます。よかったです。でも、疲れました」と返事。偉業におごることなく、率直な気持ちを伝える15歳。寺内も「地に足がついてますよね。『疲れました』って、素直に言える。ピュアというか、ほんとうに2日間、戦いきったんだなと」と、感心するばかりだ。

 中学生で出場した初五輪は7位。24年パリ五輪では、金メダル候補として名前が挙がる。「中国も間違いなく、トップの選手を出してきた。その中でも、陸斗はああいう戦い方をした」と寺内。「ここまで、中国選手のメンタルをえぐってくれる選手が日本にいたかな。自分は少しえぐれてたらいいな、くらいで。間違いなく、陸斗は中国にとって驚異です」と語った。

 今大会、飛び込み12種目で金メダルを獲得した最強中国勢。その中玉井は一角を崩し、王国を慌てさせた。「踏切の強さ、正確さは世界一ですので。パリ五輪での金メダルは、大いにあると思う(寺内)」。憧れの大先輩を追い、たどり着いた歴史的偉業。ただそれも通過点。レジェンドが示した道筋を、確かに1歩ずつ玉井は歩んでいる。(大谷 翔太)報知新聞社

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