マラソンとの出会いで人生一変 86歳ランナーが勧めるスポーツのある日常とは

引用元:THE ANSWER
マラソンとの出会いで人生一変 86歳ランナーが勧めるスポーツのある日常とは

「陽子さんは元々、パタンナーのお仕事をなさってたんですよ。以前も私を採寸して、真っ白なロングスカートを作って下さったり」

「このパンツも自分で作って60年は履いています」

「え、これ? 60年? 体型もほぼ変わらないのね」

「自分でチャチャッと直せるし、たまにしか履かないから。洋服が捨てられなくて困ります(笑)」

 軽快なトークを弾ませるのは、マラソンランナーの谷川真理さんと、マラソン世界記録(80-84歳の部)を持つ86歳のランナー・中野陽子さんだ。ずっと以前からの友達のようにも見える2人だが、知り合ったのは中野さんが70歳でマラソンを始めてからのこと。「走り始めてから友達がたくさん増えたし、谷川さんとも知り合えたし。こんなにいいことはありません」と中野さんは笑顔を咲かせる。

 一生続けられるスポーツをしようと、自宅近くの多摩川でジョギングを始めたところ、フルマラソン、ウルトラマラソン、そして世界記録挑戦と“走りの世界”にハマってしまった中野さん。コロナ禍の影響で今年の東京マラソンは出場を自粛したが、これまで全国津々浦々、数え切れないほどのレースに参加してきた。年齢を重ねながらも15年以上走り続けるのは「いろいろな人と知り合うのが楽しくて」。レースで生まれた一期一会は、人生に新たな彩りをもたらしてくれる。

「陽子さんは年齢を重ねてから世界で戦っているわけですからレジェンドですよ。一緒にマラソン大会に行くと、皆さんから声を掛けられていますね。皆さんの励みになる存在ですから」(谷川さん)

「以前、沿道で仲間の応援をしていたら、レースを走っていた方が私のところに駆け寄ってきて『いつも元気もらってます!』って声を掛けて下さったこともあるんですよ。驚いちゃった(笑)」(中野さん)

谷川さんが考える走りの効果「身体的な代謝も、精神的な代謝もよくなる」

 どちらかと言えば「人見知りで暗い方だったの」という中野さんだが、マラソンと出会ってからは快活そのもの。週4日はランニングに出掛け、今年からはスポーツジムで水泳も始めた。さらにはアルバイトもこなす充実の姿に、妹たちから「マラソンを始めてよかったわね。笑顔が増えたから」と言われるそう。日常生活に運動を取り入れることは、体の健康だけではなく、心の健康を保つのにも一役買っているようだ。

 谷川さんは言う。

「日々運動することで、今日は調子がいいとか悪いとか、体の声が聞こえてくるんです。確かに走ると苦しい時や辛い時もありますが、今日はこんなに風が冷たいんだとか、湿度が高くて熱いなとか、自分の肌で季節を感じられる。外の空気を吸ったり吐いたりするだけで、体の中から元気が湧いてくると思うんです。身体的な代謝が上がるのはもちろんですが、精神的な代謝もよくなる。だから、陽子さんにも笑顔が増えたんじゃないかと思うんですよね」

 谷川さんの言葉通り、前向きそのものの人生を過ごす中野さんは「私は年を取るのは嫌じゃないの」と微笑む。その理由というのが、また粋だ。

 マスターズの大会では5歳刻みでクラス分けされ、それぞれに世界記録がある。中野さんが世界記録を持つのは80-84歳の部。「年を取れば、次の85-89歳の部では若い方で記録が狙えるから」というのが中野さんの考え方。今、86歳の自分は過去を振り返れば最も年を取って見えるが、未来に目を向ければ最も若い。視点の置き方1つで、世界はガラリと変わって見える。

 外出する前は玄関の鏡で姿勢をチェック。「スキーをしていた時、すごく上手な方がどこでも鏡があると必ずフォームのチェックをしていたの。それを見て私も始めて癖がついて、鏡の前で走る時のフォームを見たり、道を歩く時もガラスに映る姿を見るようにしています」。その効果は若々しくピンと伸びた背筋が物語っている。

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