監督としてどう向き合うべきか 学生たちとの冒険がスタートした/清水咲子

引用元:日刊スポーツ
監督としてどう向き合うべきか 学生たちとの冒険がスタートした/清水咲子

昨春に引退した清水咲子氏(29)が、月2回の特別コラム「なんでもさっこ節」をスタートします。4月から日体大水泳部競泳ブロック監督に就任した清水氏が、選手たちの気持ちや調整方法、現役時代の出来事など、水泳界にまつわる話題を披露。第1、第3水曜日は「さっこ節」でお楽しみください。

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「暗い…」初めて、今の母校、日体大水泳部のチームを見た時の印象だ。

何がそうさせているのだろう…。

4月より日体大競泳ブロックの監督に就任し、新しい生活に入った。現役時代とは違い、人のために何ができるのかを常に考えながら生活する日々が始まった。

いざ学生たちと顔を合わすと快活さがなかった。なぜなのか。そんな疑問を直接、学生たちにぶつけようとしたが、やめた。学生達の気持ちになって考えてみようと思ったからだ。

まず観察した。練習の前の陸上トレーニングから水中練習が終わるまでの行動を見た。全ての動きが小さく、目線が低い。それは自信のなさの表れだと感じた。

周りのスタッフから話を聞くと、大半の選手がベストタイムを出せず、自分自身に落胆していることが分かった。

経験上、自分自身にガッカリしている時は、自分の全ての行動に不信感を抱き、ベストタイムを出すことを想像することさえできなくなってしまう。

そんな思考で練習をしていても進歩はないし、何も前進しない。

全員を集めミーティングを行った。「チームの立て直しのために、君たちの力を貸して欲しい」というアプローチをとった。

昨春まで現役選手だったため、学生と年齢が近い。選手と向き合いながら話すことを心がけ、言葉選びは工夫している。

弱っている学生に無理やり、目標や理想を掲げなさいと言っても、きれい事しか言わないだろうと思った。

「私がこのチームを立て直したいから、君たちの力を貸して欲しい」という言い方で、学生たちに頼んだ。

学生達は大きくうなずいてくれた。

選手にとって頑張る環境があること、信頼する指導者がいることは何よりも安心材料になるし、自信もうまれる。チームの雰囲気も明るくなるはずだ。

これからは自分自身も信頼される人間であるよう、日々学生に寄り添い、向き合う時間を大切にしていきたい。

そして学生達が秘めている力を思う存分発揮させていきたい。

◆清水咲子(しみず・さきこ)1992年(平4)4月20日、栃木県生まれ。作新学院高―日体大―ミキハウス。本職は400メートル個人メドレー。14年日本選手権初優勝。16年リオデジャネイロ五輪は準決勝で日本新の4分34秒66をマーク。決勝に進出して8位入賞。17年世界選手権は5位に入った。21年4月の日本選手権をもって現役引退した。今後はトップ選手を育てる指導者を目指し、4月からは日体大大学院に進学。同時に水泳部競泳ブロック監督も務める。

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