トライアスロン森拳真に備わる3競技プラスαの運動能力/加藤友里恵

引用元:日刊スポーツ
トライアスロン森拳真に備わる3競技プラスαの運動能力/加藤友里恵

<世界へ羽ばたくアスリート 2>

今回は実業団ランナーからトライアスロンへ転向した森拳真選手にお話をうかがいました。私自身も実業団ランナーから転向した身なので、親近感もあり、応援したいアスリートの1人です。意外な生い立ち、幼い頃の夢から今現在の目標まで盛りだくさんでうかがいました!

◆森拳真(もり・けんしん)1999年5月10日、岐阜県生まれ。中京学院大学中京高(現中京高)からトヨタ自動車。178センチ、61キロ。

--幼い頃はどんな子でしたか?

森 岐阜県揖斐郡池田町で生まれ育ちました。生後10カ月からスイミングスクールに通い、中学3年生まで競泳をやっていて、小学6年と中学1年の時には平泳ぎと200m個人メドレーでジュニアオリンピックに出場したことがあります。また、父がスノーボード店に勤めていたこともあり、年間50~60回はスノーボードに行ったり、これも父の影響なのですが、父が陸上をやっていたので走ることも身近にある環境で幼い頃から走ることが速い方でした。なのでこの頃の将来の夢は『水泳とスノーボードでオリンピックに出る』でした。

--意外な生い立ちですね。スノーボードはトライアスロンとかけ離れているように思いますが、重心の取り方とかバランス感覚などバイクに通ずるかも。

森 そうなんです。この前言われました。カーブが上手とほめてもらってうれしかったです。

--高校卒業でトヨタ自動車に入るなんてすごいですね。

森 それが…僕、運が良い方で…(笑い)陸上を始めたのが中学の時だったのですが、ちょうど水泳が伸び悩んでいる時に水泳の全中のタイムは切れず、陸上の全中のタイムが切れたんです。元々走るのも得意だったので、高校は陸上で岐阜中京高校へ進学しました。でも高校1年から1年半、けがで鳴かず飛ばずで。高校3年時の5000mも持ちタイムは15分03秒でした。そろそろ進路を…と顧問の先生とも話していて、『トヨタ自動車に入って陸上を続けたい』と言ったら、先生に『森、それは厳しい』と言われました(笑い)。そうだよな~と思ってましたが、東海大会で良い走りができたらもしかしたら可能性はあるかもと言われ、1か月猛烈に練習しました。そうしたら、持ちタイムは15位くらいだったのですが、結果は4位でインターハイが決まったんです!奇跡だと思い、陣地に戻ると、多数の実業団の監督やスカウトの方々がいて、ビックリしました。その中にトヨタ自動車の監督もいて、『うちに来るか?』『はい!お願い致します!』とひとつ返事でトヨタ自動車で陸上をやるという夢がかないました。

--素晴らしいですね。トヨタ自動車で陸上がしたいという執念!でもそれってとても大切なことですよね。

森 はい!日本一のチームで4年間陸上が出来たことはかけがえのない財産です。

--トライアスロンへ挑戦する野望はいつから持っていた?

森 中学3年で初めて認定記録会に出場した時です。いずれトライアスロンができたらいいなぁと思っていました。実は小学校低学年の時に親の勧めで岐阜県長良川で開催されていたトライアスロン大会に参加していました。

--結構前からトライアスロンにも興味があったんですね。

森 そうなんです。いつか…と内に秘めていました。ようやくその時がきたという感じです。トヨタ自動車にもトライアスロンにチャレンジしたいという旨を伝えたところ、在籍しながら競技を続けられることになりました。本当にありがたいことです。今は合宿の時以外は週5日勤務で働いていますが、工場長も良い方で応援してくださってます。

--森選手にとってトライアスロンってどんなスポーツだと思う?

森 楽しいです!今まではずっと走るだけだったので(笑い)。でも3種目を極める事はすごく難しいと思います。どれか1つの種目を追うと、どれかがおろそかになってしまう、そこが奥深いところであって、面白いところかなって思っています。最近、同世代のトライアスロン選手と合宿で一緒になったんです。僕は人見知りな方で最初は近寄るなオーラを出してしまっていて(笑い)畑違いの選手は受け入れてもらえるか? という気持ちも少なからずあり…でもランニング練習の後のクールダウンの時に、『僕も陸上やってて!都大路走ったんです!』と流通経大の安藤勘太くんが声をかけてくれて一気に緊張がほぐれて、この選手たちと切磋琢磨(せっさたくま)して強くなっていきたいって感じました。トライアスロンをやってる方ってフランクな方が多くて、きつい練習も楽しく感じます。

--昨年はトライアスロンの日本選手権とデュアスロンの日本選手権に参戦していましたが、収穫はありましたか?

森 トライアスロンの日本選手権は宮崎県で開催されて、スイムの波がとても高くて。スイムで苦戦してバイクの途中でリタイアだったんです。でも、悔しいという気持ちより、トライアスロンってすごい!という気持ちの方が大きくて、ここがスタートだと前向きな気持ちでした。デュアスロンの日本選手権は得意なランからですが、トランジットが苦手なので積極的にいきました。第一ランはトップだったのですが、予想通りトランジットで追いつかれました。バイクは必死で集団について、7位でのフィニッシュとなりました。YouTubeでの配信があったので、先頭で走って『誰や!この選手は!』というレース展開をしたら面白いかなと思ってもいました。

--最後に今後の目標を教えてください。

森 オリンピックでメダル獲得です! 今年から海外レースに出場できるので、経験を積んで世界ランキングを上げていけるように頑張ります。

  ◇  ◇

森選手と初めてお話しさせていただきましたが、とても前向きで向上心の高い選手だと感じました。その性格がトライアスロン挑戦でプラスに働くと感じています。世界に通用する走力を武器に夢に向かって頑張ってほしいです!(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)

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